エンジョイワークス オオサカの落海(京都在住)です。
京都のとある地下室に暗号通貨(Crypto)しか使えないWeb3系の会員制BARがあることをご存知でしょうか?その名も「BAR KRYPTO」。“関西からWeb3を盛り上げよう”という理念のもと作られたBARです。
BAR KRYPTOは、この地下室から始まったー
Web3と言えばゴリゴリのデジタルを連想しますが、Web3系の方同志がお酒を飲みながら気軽にお話できる、“オンラインではないリアルな場所“って関西にないよね、ということでメンバーを募り作ることにしました。集まったメンバーは、プログラマー、建築士、Web3事業家、NFTクリエーター、現役バーテンダーなど様々な背景を持つ方たち。私も建築プロデュース要員でメンバーに入れてもらいました。それぞれの得意なジャンルを生かし、作り上げていく共創作業は、これまで経験したことのないワクワクの連続。せっかくですので、整理の意味も含め、これまでの歩みをできるだけ詳細にご紹介します。
KyotoにあるCrypto Bar、だからBAR KRYPTO。
まず資金調達の方法は、BARを会員制とし、NFT会員券を販売するというもので、いわゆるクラウドファンディングとはまた違った方法です。私は当初NFT??という状態でしたが、メンバーがNFTに明るいので心強いです。TwitterでNFTアーティストを募集したところ、思いの外たくさんの方から応募がありびっくり!各アーティストのポートフォリオを眺めながらメンバーで何人かを選び、NFTアートをお願いすることにしました。アーティストからは続々と作品が届き、今度はそれをNFTマーケットプレイス「OpenSea」にミント(NFTを発行すること)しました。こちらでは日本円ではなく、暗号通貨「イーサリアム(Ethereum)」で購入することができます。
ミントしただけでは人に気付いてもらえないので、会員を募るためにSNSでの拡散はもちろんのこと、プレスリリースも打ちました。まだ工事も行っていないプロジェクトにどれだけの方が興味を示し、会員権を購入してくれるのかドキドキでしたが、そんな心配はよそにあっという間に初期販売分が完売。買いそびれた方の要望にお応えし急遽追加販売も行い、早い段階で改修費の目処が立ちました。購入していただいたのは、Web3スタートアップ系の若者やNFTコレクター、プログラマー、UXデザイナー、バーのオーナー、美容師、起業家、弁護士、税理士、市の職員など、常にWeb3系の情報に着目している方々。皆そろって、こういう場所を待っていた!というリアクションです。会員はWeb3系のSNS「Discord」に招待され、オンライン上での交流も可能になります。
みんなが集まる場所はみんなで作る、これ鉄板!
資金が集まれば今度は改修工事です。この場作りでは“共創”を大事にしたいと考えていたので「楽しみながらみんなでつくろう!」をコンセプトにしている神戸の建築集団「TEAMクラプトン」に依頼することに。早速地下室をご案内すると、そのポテンシャルの高さに妄想が広がったようで、代表の山口さんよりすぐにイメージスケッチが届きました。場所を見て、真っ先に “秘密結社”のイメージが頭に浮かんだようです。あちこちで人を巻き込みながら面白い場所を作り続けているプロフェッショナル集団だけに、期待に心が躍ります。
TEAMクラプトンからは、DIYできそうな工程のご提案がありました。カウンターに垂らすペンダント照明のセード(傘)づくりとバーカウンター側面に貼るクッションパネル製作です。早速NFT会員向けにDIYイベントを企画すると、たくさんの会員がやりたい!と手を挙げてくれました。なかなかお店を作る機会ってないので、こうやって自分たちの場作りに参加できるというのは会員の大きな特典です。
ペンダント照明のセードは、真鍮のプレートをハンマーで叩きまくって傘状の形にし、仕上げにバーナーで炙って完成。カンカンカンカンという音が辺りに響き渡ります。これがとても面白くみんな作業に夢中。傘の形になった時の感動はひとしおです。
クッションパネルは、あらかじめ用意した型に合わせて合皮をカットし、綿をつめてベニヤパネルに貼っていきます。パネルの裏には記念の名前を入れちゃったりして、文化祭のノリでみなさんとても楽しんでいる様子。
一方、メンバーが考案したオリジナルカクテルに、CRYPTOに関わりのあるネーミングをつける、というワークショップも同時開催。カクテルの色味から暗号資産を連想させたり、ChatGPTに考えてもらったり、仮想通貨界で横行するSCAM(詐欺)からヒントを得るなど、ブレストの仕方もWeb3系です(笑)
TEAMクラプトンから提案のあったオリジナルのスピーカーも設置し、楽しい改修作業が完了。アンティークのグラスまで用意していただき、物置だった地下室が大人の隠れ家のような素晴らしい空間に生まれ変わり、みんなで歓声をあげました。まさに秘密結社の誕生です!
MetaMask(ソフトウェアウォレット:いわゆる暗号資産のお財布)等から支払いできるよう暗号資産の決済システムを整え、会員特典として「KRPT」というBAR KRYPTOのオリジナルトークン(クーポンのようなもの)も発行し、オープン準備万端。2023年3月24日に京都のとある地下室でひっそりと、しかし盛大にオープンしました!
Web3系のBARは珍しいので、色々とお声がかかる!
BAR KRYPTOは営利目的のBARではないので、週1日の営業で、DAO(分散型自立組織)的に運営。運営メンバーだけでなく、常連さんにもカウンターに立って頂いています。カウンターの内側は、お酒を作る傍ら、いろんなグループに顔を出しお話ができるので、ゲストとはまた違った楽しさがあります。
2023年6月末に京都の「みやこめっせ」で開催された「IVS」というテック系・Web3系イベントへの出展依頼もあり、メンバーでBARの出展することに。IVSは本来高額な入場料がかかりますが、NFT会員は無料になるという特典が付与され、会員にも喜んでいただきました。イベントは連日大盛況で、多くのWeb3系の方と繋がるきっかけになり、大変貴重な体験でした。
画像生成AIを体験しよう、というイベントでは、画像生成AI「Leonardo AI」でキャラクターを作り、さらに動画で喋らせてみました。すごい、こんなことができるのか!とみな興奮気味。BARなのに皆がPCを持ち込み、子供のように夢中で楽しんでいる様子を見ていると、あ、ここは“BAR”ではなく“場ー”なのだなと思ったり(笑)
他にも、「鷹の爪団NFT」とのコラボイベントも開催し、FROGMANさんがカウンターに立つというファンにとっては夢のような企画も。KRYPTO会員と鷹の爪団ファンが集まった中、エアドロップ(NFT無料配布)もあり、熱気に満ちた大盛り上がりの夜でした。
また、雑誌Leafの新規事業である、日本酒を熟成保管して資産化するプロジェクト「SAKE world NFT」のオープニングイベントもこちらで行われました。皆で日本酒を飲み比べながら日本酒の熟成×NFTについて考えるきっかけになりました。
このようにBAR KRYPTOではWeb3系に関わる方からちょくちょくコラボイベントの話が飛び込んできたりしながら、会員との交流を図り、皆でお酒を楽しんでいます。「自分ごと」として場作りや運営に関わると、その場所にとても愛着が湧いて、何度も通いたくなったり、人を誘いたくなったりしますよね。いかに多くの方を巻き込むか、というのがその場所が盛り上がるかどうかにかかっているので、これからもいろんなイベントを企画し、盛り上げていければと思います。
以上、これまであまり語られることのなかったBAR KRYPTOの詳細レポートでした!