エンジョイワークス オオサカの落海(京都在住)です。
大阪市北区の中津で行われたイベント「カタログの無いものづくり展 vol.6」イベントレポートの前編に続き、後編をレポートします!

2つ目の会場「大阪北運輸ビル」へ




次に訪れた会場は、中津の西の外れにある大阪北運輸ビルの2階倉庫部分。会場はどこ?と思わず通り過ぎちゃうような建物ですが、立て掛けられた木の板に小さな文字でイベント名が印字されていたので、2階に上がってみました。
断熱材もない蒸し暑い会場には、ピクチャーレールのワイヤーシステムを扱う「荒川技研工業」という会社や、アクリル特注加工を得意とする「まどか」という会社などの展示がされていました。今でこそ当たり前に使うピークチャーレールですが、そのワイヤーシステムの機構を1975年に世界で最初に開発したのが荒川技研だそうです。ここではそのワイヤーシステムを使ってアーティストとコラボしたインスタレーション展示がされていました。

3つ目の会場「medium」へ





今度は中津の東端の方までてくてく歩き、辿り着いたのがこちらの会場です。
こちらでは、廃棄された蛍光灯やブラウン管などのガラスをアップサイクルする「STUDIO RELIGHT」というリサイクルガラス工房の展示と、活用されていない布資源をアップサイクルして新素材“NUNOUS(ニューノス)”を開発した会社の展示がありました。いずれもテーマは最近ホットな “アップサイクル“。”サステナブル“の観点から、廃棄されるはずのものや活用されていなかったものに目を向け、全く新しいものを生み出すものづくり会社の意地が、こうやって具体的な形で見えるとやはり感動しますよね!上の写真のリンゴのように見えるオブジェクトは石のように固いのですが、元々は左にあるような布切れにサトウキビ成分の接着剤を塗りプレスして固形化したもの。布の並べ方でストライプの模様を作ることができるのは面白い!

4つ目の会場「キタの北ナガヤ」へ



次の会場は、通称“猫の小径”に面した「キタの北ナガヤ」の一角。この路地は初めて来ましたが、美容院やレストラン、宿、ギャラリー、レンタルスペースなどが並び、穴場スポットです。この一帯は緑も多く、すごく雰囲気がいいです。また日をあらためて訪れなくては!



古い長屋をとても上手に改装した会場には、京都で「JESMONITE(ジェスモナイト)」という樹脂素材を販売する会社の展示がされていました。私は初めて知った素材なのですが、有機溶剤やVOC物質不使用で環境にやさしいため、造形アーティスト界隈では実はよく知られていて、FRP素材の代替品として注目されているようです。樹脂を流し込んでから40分くらいで凝固します。触った感じは、FRPよりもしっとりとしていて肌触りがいい!ジェスモナイトを使った様々な実験作品や作家さんとのコラボ作品を展示し、素材のもつ可能性をアピールしていました。ジェスモナイトにウッドチップを混ぜてコースターを作るデモンストレーションも行われていたので見ていたらとても楽しそう〜。珈琲付きの私だったら、抽出後のかすを混ぜ、グァテマラ、ブラジル、マンデリン、エチオピアなど豆ごとのコースターを作ったらテンション上がる!と妄想していました。

5つ目の会場「淀川ビル別館」へ




お次の会場は大通りに面した淀川ビル別館。実に怪しげな雑居ビルです。2階の一室では床材やパネルを扱う「STANDARD LABEL」という会社の展示と、ラトビア産のホワイトバーチ合板等を扱う「ディーワン」という会社の展示が行われていました。いずれも知らないメーカーでしたが、特にホワイトバーチ合板の断面が美しかったのが印象的で、本棚などの家具で敢えて断面を見せたいときなどにはぜひ使ってみたいなと思いました。

最後、6つ目の会場「疾風勁草(しっぷうけいそう)」へ



そして本日最後の会場はこちら。まだ改修が終わったばかりの建物で、101日に「疾風勁草(しっぷうけいそう)」という、NY進出を視野に入れたカルチャー&アート発信する斬新なうどん屋さんがオープンするそうです。シート建材を扱う「THE GUT’S」という会社の新規事業で、そのお披露目も兼ねて商品の展示がされていました。

まず目を引いたのが、この“EVO WALL PANELs”というパネル。ボードをランダムに割り、その破片に断面も含めてフィルムで巻き込むことでこれまでできなかったような表現が可能になる建材です。破片の1つひとつの形状が違うので非情に手間はかかりますが、ホテルのアクセントウォールなど、アート性を持たせたい壁などでの使用を想定しているようです。

店内で上を見上げると、能舞台を連想させるような松と竹の絵がダイナミックに描かれていました。どなたが描いたのか尋ねてみると、有名アーティスト「BAKIBAKI」さんとのこと。これまでこのアーティストを知りませんでしたが、Webを覗いてみると、めちゃくちゃ素敵な壁画作品が数多く掲載されているではないですか!これはどこかでぜひコラボしてみたい!!
以上5つのイベント会場全制覇し、もうクタクタです。今回のイベントを通じて、中津の街をぐるぐる歩き回ることで、や新素材や新商品のことだけでなく、中津での新しい動きなども知ることができ、非常にインプットの多いよきイベントでした。何年後かにはきっと今よりも中津カルチャーが育まれ、さらに面白い街に発展していくのだろうなぁということを肌で感じられるポテンシャルタウン、中津。用事がなければなかなか行くことはないかもですが、この記事を読んで気になった方は“現在の”中津を見にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?