松本さんがサラリーマンから社会起業家になるまで。

ENJOYWORKS OSAKAの萩原です。
当社は面白い不動産屋さんを応援しています。
今回は、京都府京田辺市を拠点に「空き家問題と生活困窮者の居住問題の解決」に取り組む、
Rennovater(リノベーター)株式会社 代表取締役社長の松本 知之さんとお話してきました。

不動産との出会いは、先輩から買った投資用マンション

確か 2010 年だったと思います。
当時勤めていた会社の先輩から、「ワンルームマンション買わないか?」と勧誘されたのが不動産との出会いですね。
当時は「不動産投資」をしている人や関連情報も少なかったですが、その先輩は当時から不動産投資が大好きで、かなりはみ出しモノの人でした。(僕もそうでしたが・・・笑)
その人が所有しているワンルームマンションを買うことになったのですが・・・

初めての査定 「価格はおまえが決めろ」。

そのマンションはすでに借主さんが住んでいる、「オーナーチェンジマンション」だったのですが、先輩からの売値の提示はなく僕が金額を決めていいと言われたので、いろいろ調べて私の言い値で買えました。
今思えばこれが初めての査定でしたね。
おそらくこの経験がなければ、今この事業はやっていないと思います。

初めての立ち合い 「部屋の中は衝撃的でした」。

そのマンションを買って約 1 年後ぐらいですかね、当時住んでいたのは美容師さんでその人から、「引っ越しする」と連絡があり、立ち合いすることになったのですが、「立ち合い?」意味が分からなくてインターネットで調べて、チェックリスト作って会いにいきました。
その美容師さんは「時間がないから鍵だけ渡す」と言われて、会ったのは一瞬でしたけど・・・で、退去した後の部屋を見たら、スゴイ状態であまりの汚さにビックリしましたね。
異臭もすごかったですし・・・
「退去ってこんなことになるのか???」
その光景は今でも忘れられません。(笑)

借主探しで不動産屋さんへ。賃料 1 万円ダウンでも貸した理由。

しばらくは途方に暮れていましたが、次の借主を探すため街の不動産屋さんに行きました。
賃貸契約の条件確認でよく聞かれたのが、「外国人に貸すのはダメですよね?」「高齢者に貸すのはダメですよね?」という質問でしたが、「なぜ、そんなことを聞くのだろう?」当時の僕には言っている意味がよくわかっていませんでした。
そして何軒目かの不動産屋さんで、茶髪で 30 代ぐらいの女性担当者から、「生活保護の方が『借りたい』と言っておられます。家賃は今より 1 万円ぐらい下がっちゃいますけど、いかがですか?」という提案を受けました。
利回りも悪くなるし経済的には厳しくなる、特に売却する時に不利な状況になってしまうけど、物件はずっと持ち続けるつもりでしたし、「長く気に入って住んでいただけるのであれば力になりたい。」そう自分に言い聞かせて貸しました。
この体験が自社のミッションである「すべてに人に、こころ休まる住まいを」につながるきっかけとなりました。

そして、副業大家さんに目覚める。

その借主さんは 2 年ぐらい住んでいただいたのですが、家賃の滞納も一度もなくルールもきっちり守ってくれました。
生活困窮者の人を対象とした賃貸業って、人の役に立ちながら収益を上げれて面白い」と思いました。
それから、都内で同じようなマンションを買って、サラリーマンをやりながら大家業を本格的に開始しました。
気づけば所有数は 20 室以上。
当時は不動産投資もあまり流行ってなくて、情報も少なかったのですが、何でもまず 1 番に始めること。リスクをとってチャレンジすることが、先行者利益を得ることができて成功すると思いますね。

会社設立前の珍体験! 中国人を対象にしたシェアハウス。

面白い体験といえば、中国人の留学生向けに戸建をシェアハウスとして貸したことですね。
中国人が住むシェアハウスは、日本人がイメージするようなモノではなく、一部屋に夫婦やカップルなど複数の世帯が共有して住むことが多く、好奇心と収益性の高さからトライしました。
今もあるのかわからないですけど、「エスニックペッパーだったかな?」中国人の留学生が読むフリーペーパー
があって、そこに広告掲載して賃貸募集していました。(もちろん全て中国語です)
30%以上の利回りが出ましたね。通常でしたら利回りは 10~15%ぐらいですので成功と言えるでしょう。
でも、いろいろあって結局撤退しましたけど・・・
理由? お話しますが記事には書かないでくださいね(笑)

会社を辞めて起業 Rennovater 株式会社設立。

それから地元(京都府京田辺市)に帰って、今の会社を設立しました。
2018 年ですね。その時はすでに不動産価格も高騰していたので、東京より比較的価格が安い関西で起業する道を選びました。
不動産投資が好きな人って、いわゆるキレイな不動産が好きな人が多い。「都心・駅徒歩 5 分以内のマンション」とか資産価値が高くて誰もが欲しがる不動産です。
僕はそういう不動産ではなく、行政が解決すべき「空き家問題」や「生活困窮者への住まい提供」に貢献できる不動産業で起業したいと当時から考えていました。
先輩(最初にワンルームマンションを僕に売った)に話しても、全く共感は得られませんでしたけどね。(笑)
安い金額で不動産を購入して、安い賃料で『生活困窮者の方』に長く住んでいただく」この事業は関西地方、そして何よりも郊外のほうが成立すると考えました。
「郊外の空き家」に特化することが、この事業を成功させる必須条件だと思いました。今でもそれは徹底していますね。

後編に続く

【感想】
優しく穏やかで不動産屋さんには見えないですが、事業のお話をする時の真剣な眼差しが印象的でした。
中国語話せないのに中国人に家を貸すという発想と行動力、凄いしオモロイです。
事業で大切なことは、信念、ミッション、そしてリスクをとって行動することであると認識。
ENJOYWORKS OSAKA も見習いたいモノです。

【後編予告】
・会社設立当時に苦労したお話
・売主と借主はどんな人が多いのか?トラブルなどはないのか?
・実際に運用している空き家の事例
・今取り組んでいる、注力しているプロジェクトや事業
・将来の目標・夢のお話
など掲載します。 次回に乞うご期待!!

【まとめ】
最初に松本さんにマンション売った先輩は、今どうなっているのか? も気になる。


松本 知之(まつもと ともゆき)
同志社大学工学部卒、京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。
国際学会(Bioceramics16)にて、最優秀賞を受賞。2004年から2019年まで日本生命保険相互会社にて、主に投資部門、企画部門に従事。個人事業として8年間の経験を経て、2018年5月にRennovater株式会社を設立。「かわさき起業家賞」受賞、第3回「日経ソーシャルビジネスコンテスト」ファイナリスト。中小企業診断士。座右の銘は、「積小為大」「努力は運を支配する」。
https://rennovater.co.jp/