こんにちは。エンジョイワークス オオサカの萩原です。
わたしたちは、「団地を愛する人を増やす。愛される団地を増やす」をミッションに掲げ、「愛ある団地再生プロジェクト」を2024年からスタートさせました。

その第一弾として手がけたのが、神戸市垂水区・明舞団地の一室。
海と緑に囲まれた静かなロケーションを活かし、心地よい“余白”を感じる空間へと生まれ変わりました。

今回ご紹介するのは、その再生された住まいを選ばれた香川 かづあきさんの暮らしと価値観。

「団地暮らしに興味がある」「生き方から変えてみたい」と思う方にとって、きっとヒントが詰まった内容です。

【Profile】
香川 かづあき(KADUAKI KAGAWA)
・職業:イラストレーター・デザイナー
・年齢:61歳
・購入日:2025年3月
・UR賃貸からの住替え
・現在パートナーさんとお二人暮らし

取材場所の明舞団地。JR山陽本線「朝霧」駅より徒歩13分にある

「最小の美」で満たされた1LDK。空間を照らす“人生を変えた照明”

香川さんの住まいを訪れた第一印象。それは、「モノが少ないのに、寂しくない」空間。
整えられた1LDKには、必要最小限の家具と、静かに存在感を放つ小物たち。まるでホテルのような佇まいです。

中でも目を引いたのは、リビングと洋室に設置された2つの照明。
曲線と光のバランスが美しく、まるで彫刻のような存在感を放っていました。

「イタリアで出会いました。照明って、向こうでは“贅沢”の象徴。インテリアの主役として扱われているんですよ。」

そんな香川さんの“照明愛”は深く、世界的なデザイン賞も受賞したその照明は、注文から届くまで3ヶ月待ちだったとか。
トランスや可動アームをあえてデザインの一部にした“見せる照明”は、日々の暮らしの質を高めてくれる欠かせないパートナーとなっています。

間取りは1LDK。テーブルとイスが壁と天井のデザインに自然に溶け込んでいる
あえてLDKにベッドを設置。これぞホテルライク!右側の扉はパートナーのお気に入りポイント
厳選されたいいモノだけを購入。奥に並んだチェアはちょっと腰掛けたり荷物置きにしたりと使い勝手抜群だとか
これぞ最小の美。LUMINA(ルミナ)社、Daphine LED floor(ダフィーネ)のフロアスタンド照明
こちらはテーブルスタンドタイプ。香川さんの作品も素晴らしく、照明・テーブル・チェアと気持ちよく溶け込んでいる
夜にベッドから撮影。部屋を暗くして寝室から眺めるのが至福の時間。いい夢が見れそうですね

「いらないモノ会議」で見えてきた、本当に大切なもの

「引き算の暮らし」を選んだきっかけは、意外にも引っ越しのアルバイトでした。

「3.11の頃、イラストの仕事だけでは生活が厳しくて。ダブルワークで引っ越しの現場に入っていました。」

ある日、ひとり暮らしの2LDKから溢れる4トントラックの荷物を目にし、「モノってなんだろう?」と考えるように。
その思索の中で、香川さんがたどり着いたのは、「今この瞬間を楽しむ」こと。

「人間っていつか死ぬじゃないですか。だったら今だけを楽しんだらいい。そのために“いらないもの”は極力減らしたほうがいい。」

いらなもの会議について語る香川さん。徹底した引き算の結果、残った逸品の数々も紹介してくれました

現在、パートナーとともに行っているのが、定期的な“いらないモノ会議”。
これまでに手放したモノは、自転車、テレビ、車、掃除機…。
「掃除は、ほうきとクイックルワイパーで充分ですよ」と笑う香川さん。

本当に必要なものだけを厳選し、持たないことで心と身体に“余白”が生まれる。
それは、団地というコンパクトな空間だからこそ、より実感できる暮らし方でもあるのです。

後編に続く・・・


【香川さんがセレクトした引き算アイテム一覧(抜粋)】

腰掛けたり荷物置きにしたりと使い勝手が良いチェア/可愛らしいフォルムに一目惚れしたペンダントライト(Louis Poulsen)
写真左:竹集成材を使用したAND MIRROR/写真右:フリッツ・ハンセン社を代表するベストセラーのセブンチェア
天然木のティッシュペーパーボックスカバー &ペンライト/ベッド横に使い勝手が抜群のワークテーブル
写真右:漆塗りの食器セット/写真右:STAUB(ストーブ)の鍋&湯沸かし用の鍋
写真左:シモンズベッド。こだわり抜いてやっと出会えた至福の寝心地/写真右:Bang & Olufsenのスピーカー。想像を超える音質


■取材担当の所感(前編)
取材というよりも、友人の家に遊びに行った感覚でした(笑)
改めて、家・お部屋は「今を幸せに生きるための空間である」と感じます。
引き算の暮らしを徹底的に追求した結果、選ばれたモノ・アイテムたちはデザイン・存在感・機能性共に抜群!
香川さんの生活への探求心と好奇心を肌で感じることができ、とても幸せな時間となりました。
最後にとても印象に残った「名言」今日のまとめとして、前編を終えたいと思います。

後編は「香川さんが”愛ある団地”を買った理由」を中心にお届けします。


■今日のまとめ
住空間を良くする3つの要素は「照明」・「音楽」・「香り」である。