神戸市垂水区の小高い丘に建つ明舞団地。
香川さんが購入された部屋は、南向きの1LDKで、白と木目を基調にしたミニマルな内装が特徴です。
エンジョイワークスが「愛ある団地再生」をテーマにデザインだけでなく、団地の弱点(断熱性・遮音性)もしっかり改善することをテーマに設計した、再生団地の第一号。
そんな愛ある団地を選んだ背景には、「暮らし」と「街」の両方を見つめた香川さんならではの視点がありました。

「駅を降りた瞬間、空が明るいと思った」―朝霧という街の魅力
神戸市西部、山と海に挟まれた静かな住宅地・朝霧。
ここに暮らす香川さんは、3年前にこの街へやってきました。
引っ越しを考えたのは、千葉で両親を見送ったあと。
「家が広すぎて、自分ひとりには持て余すな」と思った香川さんが探し始めたのは、自由度の高いUR賃貸のDIY可能物件。
そして偶然目に留まったのが、朝霧の団地だったのです。
「DIYで自由にいじれるっていうのが面白そうだったし、家賃も手頃だった。彼女が三宮に住んでいて、アクセスも悪くない。朝霧って地名にはあまり馴染みがなかったけど、来てみてびっくり。駅を降りてすぐ、“明るさ”に包まれるような感覚があったんです」
彼が言う“明るさ”は、光の話だけではありません。
道幅の広さ、空の広さ、そして街の余白のこと。
「朝霧は神戸の他のエリアにない魅力があると思いました。ストンと広い道が抜けていて、視界が開ける。海も空も近いし、なにより静か。街に、ちゃんと呼吸できる隙間がある。それでいて病院・食品スーパー・スポーツジムも充実していて・・・不便じゃないのに心が整う場所なんです」
そんな環境に惹かれて住み始めた香川さん。朝霧×団地の暮らしは、彼の「引き算の美学」と深く結びついています。



愛ある団地購入!パートナーのひと言からわずか3日で決断!
大好きな朝霧でスタートしたUR団地ライフでしたが、仕事もやる気が出ず、ふさぎ込んだ時期もあったそう。これからの人生設計に悩んでいた時、パートナーがこう言ったといいます。
「ギャラリーみたいな家で、過去の作品の展示会をしながら、ゆっくり新しい絵を描くのはどう?」
最初に検討していたのは、神戸市須磨区・板宿の別荘物件(2000万円台)。とても気に入ったものの、「やっぱり朝霧を離れたくない」とパートナーと意見が一致。(実はパートナーの方が朝霧を離れたくなかった)帰りの車で、彼女がスマホで見つけたのが今の明舞団地の物件。即内見を申し込み、その日に購入を決意。
「ひとめ惚れしたから買います」
板宿物件の内見から3日後のことでした。
「パートナーの行動力にはほんと、感謝ですね」
香川さんは少し照れながら、笑顔でそう語ってくれました。




都心マンションにはない愛ある団地暮らしの魅力!
「エレベーターがない」
団地暮らしを検討したことがある人が一度は考える懸念材料ではないだろうか?正直私も「エレベーター無の4階物件を好んで買ってくれるか?」少し不安はありました。
そんな疑問をはじめ、香川さんに団地暮らしのリアルを問うてみたい。
「エレベーターがないことは全く気になりません。むしろその分『エレベーターのメンテナンス費』が不要なので管理費・修繕費が安い。そもそも朝霧は坂が多いので・・・歩くことが好きな人はすぐに慣れますね」
現実的かつ冷静な口調で答えてくれました。また、フルリノベーション物件が1000万円台前半で購入できることもコストパフォーマンスが高いといいます。(本物件は1280万円)
さらに他にはない団地ならではの魅力も・・・
「住んでいる人の年齢層が高いからか、マナーを守る意識が高い。古き良き日本人の“人を思いやる気持ち”を持った穏やかな方が多く住んでいるように思います。管理組合の理事長も気さくな方で、『今度似顔絵を描いて』と頼まれましたね」

そして売主として一番聞きたかった、愛ある団地リノベのお気に入りポイントもしっかり語っていただきました。
「壁をぶち抜き広々とした間取りにしていること。あと二重サッシと“断熱”です」
目に見えない価値の断熱は特にパートナーが気に入ってくださっているようで、「やった甲斐があった!」と感じます。
あと、デザインがシンプルで余計なことをしていないこと(ビビッドなアクセントカラーが使われていない)もポイントが高かったそうですが、ここは好みが分かれそうなポイントですね。
「香川さんのような団地を愛する人をもっと増やしたい!」




“毎日が日曜日” 今を味わい、明日をあえて考えない暮らし
現在は制作活動を休みつつ、日々を丁寧に暮らすことに集中しているという香川さん。
朝、洗濯をして、自炊し、晴れた日はお弁当を持って大蔵海岸へ行く。
「絵を描かなくても、今がちゃんと楽しい。未来のことは考えない。考えないことで、今に集中できるんです」
一緒に暮らすパートナーとは、結婚という形を取らずに「ともに生きる」関係を選んでいるといいます。
「重たくしない、期待しすぎない。でも支え合う。ちょっとフランス的かもしれませんね」


団地に、“豊かさ”の可能性を見つけた暮らし
最後に、香川さんが口にした言葉が印象的でした。
「誰かに見せるための家じゃなく、自分が気持ちよく生きられる場所がいい。団地って意外と“自分で手を入れていい空間”が残っているし、何より懐が深い。少しの工夫と、少しの哲学があれば、どこにだって豊かさは作れる。そう思います」
朝霧駅より徒歩13分。明舞団地に流れる、ゆったりとした時間。
それは、モノを減らした先に広がる「光」と「余白」に包まれた暮らし。
築50年を超える団地でも、丁寧に再生された住まいは、アイデアと哲学次第でいくらでも“自分だけの居場所”になる——香川さんの暮らしが、それを教えてくれます。

※購入者インタビューは前編・後編の2部構成です。前編はこちら
■あとがき
取材を終えた日の夜。香川さんからこんなLINEメッセージをいただきました。
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還暦を迎え「終活」を考えるタイミングでこのお部屋に出会えたのはとてもラッキーでした。
これからの人生は良い品質でシンプルなデザインの物を必要最小限所有して暮らしたいと考えています。
この家はどんな家具や雑貨を分け隔てなく受け入れてくれる懐の深い空間なので、自分の理想にぴったりでした。
団地の階段は脚力体力を衰えさせない為のジムだと思っています。
大蔵海岸で船を眺めたり、読書を楽しんだり、ベンチで珈琲を嗜み、時には明石まで散歩の足を伸ばすのも楽しいです。
団地の中心には病院が集まって2件の薬局もあり、健康管理の心配もありません。
健康維持の為の自炊を支えるヤマダストアーもすぐ近くで、無添加食品や有機野菜が手に入るのはラッキーだと思います。
シモンズベッドを中心に据えたインテリアは、毎日の睡眠を大事にする為です。
最期まで自分の足で歩き、元気で健康でありたいと云う夢があるので、この場所は理想的です。
そのうち海をテーマに絵を描き個展を展きたいと考えています。
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香川さんのように、自分のリズムを大切にしたい方にこそ、
この場所での「暮らしの可能性」を感じていただけたらうれしいです。
朝霧の団地でアート個展、素敵な企画ですね。
その日を楽しみにしております。
■今日のまとめ
香川さんのような団地ライフを模索している人、もっと詳しくお話を聞きたい人は、
エンジョイワークス オオサカまでLINEください!
団地系イベントも企画中です。乞うご期待!